特に大きなコンクリート建造物によく見られる、コンクリートとコンクリートの境界に、黒い板のような物をみたことありませんか?
業界の方ならすぐに何かわかると思うのですが、なぜあの黒い板のようなものがあるのか?ちょっと説明させて頂きますね。
エラスタイトとケンタイト
コンクリートも鋼などと同様に温度により伸縮するんです。
打設時に圧力で膨張した後、硬化時に乾燥による収縮が始まり、完成すると熱による
膨張・収縮があるんですね。(熱膨張)
少し解りにくいですが、
伸縮量Lは鋼と同じと割り切ります。
(コンクリート内に鉄筋が入ってありますよね)
式にすると、
L(m)=0.0000116×65°(-15~+50)×10m=0.0075m
です。
分かりやすく説明しますと、10mの無筋構造物は、7.5mmの伸縮量、
このために10m毎に、10mmの目地材が入っているんですね。
鉄筋構造物では目地間隔20mで、目地材は20mmのものが施工されており、橋梁はこの他に荷重によるタワミなどがコンクリートにかかるので5mに一ヶ所、コンクリート断面に負荷が掛かる個所をわざと作り(Vカット等)、そこにヒビを集中させる施工をしています。
ですから、なぜあの黒い板のような物があるのかというと、コンクリートに伸縮の余裕を持たすためにあるんですね。
コンクリートの伸縮に余裕が無いと膨張と収縮によるクラック(ひび割れ)や
剥離といった現象がおこってしまいます。
ケンタイトのような目地材を使用しコンクリートの伸縮をカバーしているんですね。
コンクリートとコンクリートの境界にある黒い板のような物は
伸縮をカバーする目地材ですというお話でした。
ちなみに様々な目地材がありますが、よく目にする目地材は
ケンタイトではないでしょうか?
このケンタイトがよく見られる黒い板のような物です。
建築現場などではよくエラスタイト又はエラスといっています。
見た目はほぼ変わらないんですがケンタイトとエラスタイトでは用途が少し違ってきます。
参考までに・・・
■エラスタイト(癧青質(れきせいしつ)目地板)
用途 護岸、ダム、貯水池、水路、機械基礎、建築物等各種目地、屋上防水押保護用
■ケンタイト(癧青質繊維性目地板)
用途 道路、滑走路、工場、歩道、広場等のコンクリートの膨張、収縮、盲目地用、
建物の目地部分、その他コンクリート建造物の膨張目地。
またケンタイトは、エラスタイトの最大欠点のはみ出し(動きの有る目地)を、諸官庁より指摘されエラスタイトに代わる目地板として開発されたともいわれております。
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